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高気密高断熱工法に家づくりを頑として受け入れなかった寺島。ある日、お施主さんからこんな質問を受けた。
「だったら寺島さん、あなたのところではどんな工法で建ててくれるんだい」
「在来工法ですよ」
「昔の家か……。そりゃあ寒くてダメだ」
昔の家が寒いのは、建具が悪かったり、隙間だらけだったりしたせいだ。自分が建てる家は隙間なんてない。建具だって最先端のサッシだ。寒いはずがない。
そう思ってはみたものの、高気密高断熱の家に比べると、在来工法の家はやっぱり寒い。どうしてだ。
生まれながらに、とことん原因を突き詰めないではいられない性格の寺島は実験してみることにした。実験のため、八畳一間の小さな家を建て、データを実測することにしたのだ。
テーマは2つ。なぜ寒いのか。そして、なぜ結露がおきるのか。
完成した小さな実験棟の17カ所に温度計と湿度計を取り付け、結露の原因を探るため水に浸したバスタオルを干した。午後9時に暖房のスイッチを入れ、30分おきに午後3時までデータを取る。これを毎晩毎晩続けた。
一大工のプライドが、一人の男を科学者に変えてしまった。人から見たらバカみたいな、でも大学の研究室のような、ひたすら計測の日々が始まった。
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